ホーホー雑貨店 は、現在準備中です。

2016/03/12 04:13

イルカやウサギなどの可愛らしい動物のブローチとは言え、ただ可愛いブローチではないのです。
窓枠に囲まれた不思議な世界観、身に着けるだけでなく飾っておきたくなる作品です。


 窓の外に奥行が感じられ、動物が窓に柔らかく触れているような、造形が素晴らしいのです。
しかし、そのための技法に難しい部分があり、かなりご苦労されたそうですが、どうしても安定した焼き上がりは実現しませんでした。.

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まず問題だったのは、中央のガラス部分に窓枠の釉薬が滲み出てしまうこと。
動物を覆うほどガラス質の釉薬を入れるため、窯の中で液体になった時に近くの釉薬が滲みやすいのです。
これに対しては、窓枠の塗り方の工夫で滲みを軽減しています。


 更に問題は貫入が入ることです。
貫入とは、素地と釉薬の収縮率の差によってできる、ヒビ模様のことです。
素地に釉薬をのせて窯で焼きます、高温になると釉薬は液体となり素地を覆います、そして冷えてゆく時に焼き物は縮んでゆくのですが、素地と釉薬の縮む比率の違いによって薄い釉薬の方にヒビが入るのです。
できるだけ収縮率の近い貫入の入りにくい釉薬を使っても、釉薬が厚くなると縮みが大きくなり貫入は出やすくなってしまいます。
また温度や窯の中での位置、温度変化の速度等でも状況は変わるため、コントロールは困難です。


これらの滲みや貫入は、茶碗等でしたら景色として楽しむこともあり、あえて効果を狙って入れることもある技法なので、いわゆる汚れや傷とは異なります。
当店では、それこそ景色として、ブローチ1つ1つの個性を楽しんでいただきたいと考えています。


 残念ながら、せっかくブローチを焼いても廃棄が多く、森本さんはこのブローチの製法自体に無理があると考え、基本出荷は今回限りとなりました。
動物がとても魅力的だったので、また動物モチーフにチャレンジしていただきたいと願っております。