ホーホー雑貨店 は、現在準備中です。

2016/07/18 07:28

雑貨屋なので、アチコチ行きます。

当店は「好奇心をくすぐるモノたちを、探し集めております。」ので。

雑貨好きのお客様には、興味を持っていただけるのではないでしょうか?


ものあい 相澤染工場見学(2016.6/25)

埼玉県八潮市の「相澤染工場」に行ってきました。

染物屋さんらしく川沿いにあり、目の前の大場川は県境で向こう岸は東京都葛飾区です。

藍染作家の「ものあい」こと相澤 択哉さんのご厚意で、ご実家であり仕事場である「相澤染工場」を見学させていただきました。

まずは型紙紙を彫るところを見せていただきました。

「ものあい」の特徴である丸をくり抜く丸錐を、大きさ違いでいくつも揃えて使い分けています。

細い丸錐の刃先を傷めないように紙に刃先が触れる位置で固定しつつ、均等に力がかかるように柄を回しながら、ひとつひとつ抜いて行きます。

型紙に下書きが薄く写してあるのを、ずれること無くしかも素早く抜いて行く手際は見事でした。

次に型付けを見せていただくために、作業場へ移動しました。

型付けは型紙を使い防染糊を生地に塗る作業で、ヘラで均等に塗らなければ柄にムラが出てしまいます。

ハンカチに型を乗せ、スースーと滑らかに糊を伸ばしてゆく様子は簡単そうに見えました。

この後当店スタッフも体験させていただいたのですが…ムリです。厚いところ薄いところ、均一に塗るのは簡単にはできません。

相澤さんが塗った型をはずすと、このようにキレイに柄が写し取られています。

「ものあい」の柄「矢絣」です。小さい糊の丸が均等に並んでいます。

糊を乾かしたら、いよいよ藍染です。

藍甕のところへ案内されて驚いたのは、藍甕の多さです。

合計38もあり、写真の正方形の板の下ひとつひとつに、約直径1m深さも約1mの甕があるのです。

「相澤染工場」は藍染を得意とし、商店会や町会の半纏や暖簾を主に染めています。

初夏は祭半纏の注文が大量に入るそうで、それに対応するには藍甕もこのくらい必要なのでしょう。

もう一つ驚いたのは、藍甕の中の液体が青くないことです。

表面は青いのですが中は黄褐色で、染めた布も出した瞬間は黄色いのです。

しかし、みるみる青みを帯びて緑色になってゆき、水槽に運び水ですすぐと、もうキレイな青色になっています。

空気中や水中の酸素によって酸化して、青くなるそうです。

ということは、染めてみなければ色合いはわからないのです。よくそれで色の微調整ができると、感心しきりでした。

保管されている型も見せていただきました。

これは「ものあい」の型で「家」、当店で取り扱っているスカーフやブックカバーもこの型で染められています。

こちらは古い型、いつ頃何に使ったものなのかお尋ねしたのですが、わからない、とのこと。

とにかく古いこともあるのですが、昔は多くいた同業者が長い年月の中で廃業してゆき、その際に型を残る同業者に託すことが多かったそうです。

和紙に柿渋を引いた高価な渋紙に、高い技術の職人が彫りを施し、繊細な彫りを保護するために紗という極薄の生地を重ね貼りしている型紙はとても美しく、廃棄するには忍びなかったでしょう。

「ものあい」はこれらの古い型を使い新たに型染めをして、コースターを作っています。


今回見学させていただいた時、半纏の柄に染められた生地がたくさん干されて、風に揺れているのを見ました。

濃い藍染の中にカラフルな紋や江戸文字があしらわれて、地元埼玉の商店会のものもあれば、浅草三社祭用に請け負ったものもあり、東京下町のお客様がやはり多いそうです。

「相澤染工場」の歴史は古く、創業は明治39年で約110年も続いており、相澤 択哉さんは5世代目にあたります。

創業当時は浴衣に手ぬぐいに半纏にと、庶民の一番身近に藍染はありました。

いつの間にか日常生活から遠ざかってしまった藍染を、「ものあい」は再び身近なものにしたいと考えています。

また、とても手間暇かかる本染めに必要な藍甕などの施設や道具を「相澤染工場」が保持していることで、「ものあい」の作品は手に取りやすい価格で提供できています。

これからも、ここから「ものあい」の素敵な作品が生まれることを、とてもお楽しみにしています。