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2016/11/28 07:54

おそらく、世界初のガラスのペン先(ニブ)を持った万年筆です。
しかも、通常の万年筆のペン先が付属し、差し替えが可能な2WAYの万年筆でもあります。

台湾の金属加工工房「森作所」が作り上げました。
台湾日本統治時代に移住した日本人技師が金属加工工場を経営、終戦と共に日本人は台湾を去り、跡を継いだのは弟子として金属加工職人となった楊森さんのお爺様でした。
今ではお父様が経営を継がれています。
楊森さんも家業として働き、職人技術を受け継いで独立、「森作所」を立ち上げました。

独自のデザインで、高級筆記具をメインに製品を発表しています。
彼ひとりで工作機械を操り、ひとつずつ製作するので、少数限定で販売をしています。

「森作所」のある新竹市は台北の隣の市で、日本統治時代以来、多くの町工場が集まる職人の街です。
近所のガラス職人の仕事から発想を得て、この万年筆の開発は始まったそうです。
ガラスペンは、その割れやすさや別にインク瓶を必要とする等の、使いにくい面があります。
そこから万年筆とガラスペンの融合を模索し、ペン先にはガラスを使い、本体は万年筆のデザインとなりました。

当店で「零式S980」を試用してみたところ、世界初のガラスニブはちょっと気難しいようです。
ガラスニブはインクを吸い上げる力が弱いようで、乾いた状態にインクの入ったコンバーターやカートリッジを装着しても、インクが少ししか流れません。
書けてもインクの補充が追いつかず、表面が乾燥してきて、すぐに掠れて書けなくなります。
ガラスニブの根元までをインクにしっかり浸けて吸引することで、乾燥を遅らせ、インク通路が流れやすくなるようです。
とは言え、これは当店が試用したガラスニブの場合で、あくまで傾向です。

ガラスニブは手作業で製作していますので、厳密には全てのインク通路の太さは均一では無く、それぞれのガラスニブの能力は使ってみないとわからないのです。
インクの流れが良くても悪くても、金属ニブのように先を微調整することはできません。

おそらく流れの調整は、インクの粘度でしかできないと思います。
万年筆専門誌での記事によると、主なインクで0.88mPa・sから1.94mPa・sの間に分布しているそうです。
当店でいくつかインクを試したところ、1.00mPa・s以下であれば、試用のガラスニブにはスムーズに流れるようでした。

お買い上げのお客様には、主要インクの粘度表のコピーをお付けしますので、これを参考に最適な1瓶をお探しいただきたいと思います。
インクが余ってしまっても、ペン先をスチールニブに替えれば使うことができますので、そこはどうかご安心を。